まずはこの写真を見てほしい。
これは Best Buy という、日本で言う家電量販店の最大手が作っている携帯電話のカタログの中の一覧表である。2、3の例外を除き端から端まで、ほぼすべての電話会社について、携帯電話/スマホの色は真っ黒たまに白、である。
我が家に送られてきた AT&T の広告紙でも、こんな感じでほぼ真っ黒である。
Best Buy の実店舗の携帯売り場に行くと、やはり色は黒一色で、一見ほとんどモデル間の見分けがつかない。黒でない、という印象があるのは、最近だと HTC One X (白のイメージ)、Samsung Galaxy シリーズ (グレーのイメージ、なせだろう?)くらいで、後は黒しか目立たない。あの iPhone でさえ、黒と白しか無い。
一方、日本のスマホはカラフルだ。例えばどこものページを見ても、黒一色ということはあり得ない(http://www.nttdocomo.co.jp/product/2012_fall_feature/index.html)。
この違いはどこから来るのだろう?
一説によると、アメリカでは圧倒的に黒が売れるということがマーケティング調査ではっきりしておりで、製造台数が少なければ色を分散させるより無難な黒にしておくのが吉、という。
その結果がページ最初にあげた一覧のような状況を作ってしまっているとしたらあまりにもつまらない、と個人的には思う。
周りが黒ばかりだから、逆にここでその他のカラーを展示すれば個性が際立つと思うんだけど...でもそれが必ずしもよい方向に働くとも限らないか。
アメリカ人でも同じことを考えている人はいるようで、こんなブログ記事を見つけた。
http://www.phonedog.com/2012/04/20/htc-talks-strategy-behind-smartphone-colors-why-carriers-won-t-offer-some-shades/
本文よりもコメントが面白くて、みんな結構勝手なことを言っている。もっとカラーバリエーションを増やせ!という意見もあるが、カラーは安っぽく見えるからいやだ、とこだわる人もいる。競合の電話会社のロゴのカラーを使わせたくないからだ、という意見もあるがこれはさすがに無理筋だ。
面白いのは黒以外だと画面に集中できないという意見。これは一瞬ありかなと思ったが、以前カラーモデルを使った経験からすると画面に表示されている内容によって印象が良くなったり悪くなったりするので一概には言えない。ただし現在ほとんどの機種が黒ベースならコンテンツもそれを前提に作られているだろうから、やはり黒がベストということになって、ロックインされてしまうかも。
私の周りには黒はいやだという人や赤青等のカラーが欲しいという人がかなりいるのだが、マジョリティではないのかなぁ。
個人的には上品な青かグレーが欲しい。 あと夜中に蛍光で置き場がわかること!
2012年11月26日月曜日
2012年11月21日水曜日
プロジェクト中止に伴う痛みは和らげられるか?
Cnet に「プロジェクトを途中で打ち切る際の痛みをやわらげる10の方法」という記事が掲載された。
その10の方法とは次のような物らしい。
#1:プロジェクトの打ち切りという選択肢をあらかじめ戦略に含めておく
#2:打ち切りは早いうちに、しかし早すぎないように
#3:プロジェクトの代替策を用意しておく
#4:プロジェクトを妨害活動から守る
#5:投資を行う前にベンダーとともに事前調査を行う
#6:打ち切りが難しいプロジェクトは、適切な部署で実施するようにする
#7:責任を受け入れる
#8:経験から学ぶ
#9:コンセンサスを得る
#10:ポジティブな態度を維持する
確かに、これらを実行すれば痛みはいくらかは和らぐかもしれないが、それは100%が95%程度に微減するくらいの物だろう、というのが正直な感想だ。
Project Manager として、すでに開始されたプロジェクトの中止の経験はある。自分が中心となって打ち切ったケースもあれば、突然天の声で中止が決まったものもあった。
自分が中心となって中止を決定したケースでは、上記10項目のうち、最低5項目は満たしていたはずだ。それでもその痛みがいささかでも軽くなったとは思われない。
なぜプロジェクトの打ち切りがかくも痛みを伴うのか、人によっても様々な考えがあるとは思うが、私に取っては次の2点が最も深刻である。
1. 喪失感。プロジェクトメンバーにとってそのプロジェクトが重要な物であるほど、喪失感は大きい。メンバーが一体となって目標を共有し、感情を共有し、時間を投資することはプロジェクトの成功に取って不可欠であるし、それがうまく行われるようにProject Manager が調整を行う。うまくいっているプロジェクトほどメンバーは思い入れるようになるし、よりプロジェクトがうまく回るようになって行く。ここで突然すべてが失われると、その喪失感から立ち直るためにはそれなりの時間が必要になる。
2. 雇用の問題。アメリカでは前から、また日本でも最近では同じかもしれないが、雇用の問題は生活に直結する。プロジェクトが中止になると、メンバーの職は非常に危うい状況になる。他の仕事が無い場合はすぐに解雇の可能性が高くなる。あらかじめ予見できていれば職探しもできようが、突然の場合は上記1で説明した喪失感も加わって精神的に非常に辛い。
私個人としては、メンバーをプロジェクトに引き込み一心不乱に作業をしてもらった(もしくはそうなるようにリードした)ことに対して道義的責任を感じてしまう。性格によってはすぱっと割り切れる人もいるかもしれないが、私の場合はけっこう引きずる。
とは言うものの、面白く挑戦しがいのあるプロジェクトの方が中止される可能性が高い物なので、Project Manager としてキャリアを積んで行く中でプロジェクトの中止を経験することは必然である。なので、そこまで織り込んでそれも含めて引き受けるのが Project Manager の仕事、なのであろう。
正直なところ、またそのような状況に見舞われるのはごめんだが。
2012年11月10日土曜日
今更固定電話は必要なのか?
マイナビニュースの(なぜか)携帯セクションにこのような記事が掲載されていた。
「AT&Tが間もなく電話事業から撤退か、今後3年で携帯とブロードバンドに集中」
http://news.mynavi.jp/news/2012/11/10/021/index.html
元ネタはこちら
wsj.com: AT&T Move Signals End of the Copper-Wire Era
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324439804578104820999974556.html
どうやらAT&Tが銅線のネットワークを廃棄し、Broadbandサービスに集中するようだ。家庭電話はもちろんブロードバンドを使ってこれまでの電話番号等も含めて移行させる予定なのだろう。
我が家も固定電話はAT&Tを使っており、携帯と請求書は別になっている。
実は日本からこちらに引っ越してきた時、本当に固定電話が必要かどうか考えてみたことがある。しかし突き詰めること無く AT&T に加入してしまった。
日本で暮らしていた時は、固定電話の電話番号が無いと何かと不便で、例えばクレジットカードに加入する時とか配達をお願いする時とかに携帯電話の番号だと受け付けられなかった。なので固定電話を持たないというのは一家の主としては受け入れがたい物だった。今は携帯電話の番号で問題ないのかもしれない。
そのような状況だったので、アメリカに引っ越してからも固定電話を持つのは当たり前、という感覚もあった。 ただ、こちらで何かに加入するとか書類に連絡先を記入する際には、固定電話の番号が必須というのはあまりない(確か1回だけ合った気がする)。多分電話番号をさっと見ただけでは固定電話と携帯電話の区別がつかないからだろう。
日本では携帯電話と固定電話では市外局番が異なる。こちらでは携帯だろうと固定だろうと(ほぼ)登録住所によって市外局番が決定し見た目の区別がつかない。
では何のために固定電話を死守しているかというと、大きく2つの理由がある。
1つめは、家族としての電話番号を持つため。例えば携帯電話だと、夫婦共通の友人が妻と夫のどちらの番号にかけるかを悩むことになる(だろう多分)が、固定電話だとどちらがとっても良いので電話をかけてくる人にはとてもフレンドリーである。何かの名簿に載せる場合も家族にその番号1つですむ。しかしこれは携帯電話でもそれなりに同等の機能を実現できそうだ。
2つめは停電対策である。この辺りは停電が非常に多い。強い雨が降ったらまず停電する。その場合でも、電源を電話線から取るローテクな電話を繋げば通話可能だ。我が家では普通は子機付きのワイヤレス電話機を使っているので停電時には使えなくなるが、いざという時用におもちゃの電話を持っている。おもちゃだが電話線をさせばちゃんと機能するので、じつは停電時にはこの電話が最も使えるものなのだ。携帯電話だと端末のバッテリーが切れるとそこまでになってしまう。
おっと、もう一つ理由があった。残念ながら AT&T Wireless の通話音声品質があまり良くないので、長時間の電話会議には固定電話の方を使いたい。
マイナビニュースの記事でも触れられていた通り、今回のハリケーンSandyの災害時には公衆電話が威力を発揮したという。いざという時にはローテクのモノの方が頼りになったりすることもあるので、個人的にも社会的にもなかなかすぱっとは移行できないのではないだろうか。
「AT&Tが間もなく電話事業から撤退か、今後3年で携帯とブロードバンドに集中」
http://news.mynavi.jp/news/2012/11/10/021/index.html
元ネタはこちら
wsj.com: AT&T Move Signals End of the Copper-Wire Era
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324439804578104820999974556.html
どうやらAT&Tが銅線のネットワークを廃棄し、Broadbandサービスに集中するようだ。家庭電話はもちろんブロードバンドを使ってこれまでの電話番号等も含めて移行させる予定なのだろう。
我が家も固定電話はAT&Tを使っており、携帯と請求書は別になっている。
実は日本からこちらに引っ越してきた時、本当に固定電話が必要かどうか考えてみたことがある。しかし突き詰めること無く AT&T に加入してしまった。
日本で暮らしていた時は、固定電話の電話番号が無いと何かと不便で、例えばクレジットカードに加入する時とか配達をお願いする時とかに携帯電話の番号だと受け付けられなかった。なので固定電話を持たないというのは一家の主としては受け入れがたい物だった。今は携帯電話の番号で問題ないのかもしれない。
そのような状況だったので、アメリカに引っ越してからも固定電話を持つのは当たり前、という感覚もあった。 ただ、こちらで何かに加入するとか書類に連絡先を記入する際には、固定電話の番号が必須というのはあまりない(確か1回だけ合った気がする)。多分電話番号をさっと見ただけでは固定電話と携帯電話の区別がつかないからだろう。
日本では携帯電話と固定電話では市外局番が異なる。こちらでは携帯だろうと固定だろうと(ほぼ)登録住所によって市外局番が決定し見た目の区別がつかない。
では何のために固定電話を死守しているかというと、大きく2つの理由がある。
1つめは、家族としての電話番号を持つため。例えば携帯電話だと、夫婦共通の友人が妻と夫のどちらの番号にかけるかを悩むことになる(だろう多分)が、固定電話だとどちらがとっても良いので電話をかけてくる人にはとてもフレンドリーである。何かの名簿に載せる場合も家族にその番号1つですむ。しかしこれは携帯電話でもそれなりに同等の機能を実現できそうだ。
2つめは停電対策である。この辺りは停電が非常に多い。強い雨が降ったらまず停電する。その場合でも、電源を電話線から取るローテクな電話を繋げば通話可能だ。我が家では普通は子機付きのワイヤレス電話機を使っているので停電時には使えなくなるが、いざという時用におもちゃの電話を持っている。おもちゃだが電話線をさせばちゃんと機能するので、じつは停電時にはこの電話が最も使えるものなのだ。携帯電話だと端末のバッテリーが切れるとそこまでになってしまう。
おっと、もう一つ理由があった。残念ながら AT&T Wireless の通話音声品質があまり良くないので、長時間の電話会議には固定電話の方を使いたい。
マイナビニュースの記事でも触れられていた通り、今回のハリケーンSandyの災害時には公衆電話が威力を発揮したという。いざという時にはローテクのモノの方が頼りになったりすることもあるので、個人的にも社会的にもなかなかすぱっとは移行できないのではないだろうか。
2012年11月5日月曜日
iPhone 5 は普通のスマホになってしまったのか?ーその4
本当に「その3」で完結させるつもりだった「iPhone5は普通のスマホになってしまったのか?」シリーズなのだが、本日、michikaifu さんの「iPad miniでアップルの「ぶっちぎり感」がないのはクラウドのせい」を読んで、その通りだとおもったので「その4」を付け加えることにした。
これ、iPhoneでもそっくりそのまま当てはまる。現在、ユーザーが使うサービスも扱うデータも片っ端から次々とクラウドベースに移行されつづけている。データ通信さえ使えれば、ローカルにはほとんどなくてもよくなるくらいの勢いだ。
一旦クラウドベースな環境に慣れてしまうとどの端末からでも同じサービスが利用でき同じデータにアクセスできるため、端末の選択をする際にはデザインが決め手となるだろう。見た目のかっこよさ、軽さ、薄さ、操作のしやすさ、というところか。
いくら iPhone がもともと独創的なデバイスだったとしてもそれは過去の話で、現在は数ある選択肢の中からデザインと価格を考慮して選ぶ対象にしかなるまい。この観点から見ると、「その2」で取り上げた高校生の行動は非常に合理的で、iPhoneはカッコいいけど高かったのが、価格が下がったから手に入れたという、身もふたもない話だ。
この説が正しければ、iPhone よりも格好いいデバイスが出現し、かつ価格も安ければ、iPhoneの売り上げが伸び悩んでしまう可能性は高いということになる。
現実にはそこまで単純でもなくて、一旦 iTunes などで環境を構築した人はスイッチングコストが高すぎてなかなか移行できない。しかし音楽に関してはGoogle も抜け目無く Google Music Match を導入して Apple の iTunes Match に対抗し、シームレスな移行を画策している。これがうまく行けば、例えばある日iPhoneからAndroidスマホに乗り換えても今まで持っていた曲は自動的に環境ごと移行される、という状況もあり得る。(ゲームについてはどうなんだろう?詳しい方教えて下さい)
Apple にとっては、iPhoneよりもカッコいいデバイスが発売されるー>そのデバイスの価格がとても低くなるー>ユーザーのデータがそのデバイスからでも問題なく使えるようになるー>じゃそっちでいいや、 というシナリオは怖いだろうが、多分状況はこの通りに動いて行くと予想する。
がんばれ Apple!
これ、iPhoneでもそっくりそのまま当てはまる。現在、ユーザーが使うサービスも扱うデータも片っ端から次々とクラウドベースに移行されつづけている。データ通信さえ使えれば、ローカルにはほとんどなくてもよくなるくらいの勢いだ。
一旦クラウドベースな環境に慣れてしまうとどの端末からでも同じサービスが利用でき同じデータにアクセスできるため、端末の選択をする際にはデザインが決め手となるだろう。見た目のかっこよさ、軽さ、薄さ、操作のしやすさ、というところか。
いくら iPhone がもともと独創的なデバイスだったとしてもそれは過去の話で、現在は数ある選択肢の中からデザインと価格を考慮して選ぶ対象にしかなるまい。この観点から見ると、「その2」で取り上げた高校生の行動は非常に合理的で、iPhoneはカッコいいけど高かったのが、価格が下がったから手に入れたという、身もふたもない話だ。
この説が正しければ、iPhone よりも格好いいデバイスが出現し、かつ価格も安ければ、iPhoneの売り上げが伸び悩んでしまう可能性は高いということになる。
現実にはそこまで単純でもなくて、一旦 iTunes などで環境を構築した人はスイッチングコストが高すぎてなかなか移行できない。しかし音楽に関してはGoogle も抜け目無く Google Music Match を導入して Apple の iTunes Match に対抗し、シームレスな移行を画策している。これがうまく行けば、例えばある日iPhoneからAndroidスマホに乗り換えても今まで持っていた曲は自動的に環境ごと移行される、という状況もあり得る。(ゲームについてはどうなんだろう?詳しい方教えて下さい)
Apple にとっては、iPhoneよりもカッコいいデバイスが発売されるー>そのデバイスの価格がとても低くなるー>ユーザーのデータがそのデバイスからでも問題なく使えるようになるー>じゃそっちでいいや、 というシナリオは怖いだろうが、多分状況はこの通りに動いて行くと予想する。
がんばれ Apple!
2012年11月4日日曜日
iPhone 5 は普通のスマホになってしまったのか?ーその3
「普通の中の普通、普通の王道」であるかもしれない iPhone の過去の売り上げの変化は次のようになる
(*1 http://en.wikipedia.org/wiki/File:IPhone_sales_per_quarter_simple.svgのデータによる)
Apple社の Fiscal Yearは10月から始まるので、Q1が10月から12月、Q4が7月から9月である。売り上げがジャンプしている2008年のQ4には iPhone3Gが、2009年のQ4にはiPhone3GSが2010年のQ4にはiPhone4が発売されている。
2011年のQ4には売り上げは伸びておらず2012年のQ1にずれ込んでいるが、これはiPhone4Sの発売のタイミングが例年よりも後だったためだと考えられる。
このグラフから分かる通り、新しいモデルが発売されるたびに飛躍的に売り上げを伸ばしている。iPhone5についてはデータが無いが、発売直後1週間で500万台は出荷された訳なので、各Quota が12週間あることを考えれば、2012年のQ1と同じかそれ以上の売り上げにはなるのではなかろうか。
もちろん今後どれだけ売り上げが伸び続けるかは誰にも分からないのだが、少なくともすでに一部のマニアやギークのみが買っているフェイズではなく、多分いわゆる普通の人が購入の大多数を占めていると思われる。普通の人、というのは「新しい物大好き。新しい物を使うためには苦労もいとわない」ではなく「めんどくさいのはいや。なるべく簡単に用事を済ませたい」というメンタリティを持つ人であり、「この辺りでは誰も持っていないクールなデバイスを買った俺最高!」ではなく「他の人も使っているから安心」というメンタリティを持つ人のことを指す。マーケティング用語でいうと「アーリーマジョリティ」から「レイトマジョリティー」のカテゴリに属する人達と言ってよい。
売り上げの推移だけを見て判断するのは危険だが、前回の投稿で紹介した高校生の実態や前々回で紹介したiPhon5を購入した人達の感想から考えると多分当たっているのではないかと思う。
以上、3回に渡って iPhone5は普通のスマホかどうかについて考察してきた訳だが、まとめると
疑問「iPhone5は普通のスマホになってしまったのか?」
結論「iPhone自体が普通の人が購入するスマホになっている。よって普通のスマホだと考えて良いと思われる」
理由「売り上げ推移および新規購入に関する動機を見ると、すでに普通の人が普通の感覚で購入するフェイズに入っていると考えられるから」
初代iPhoneはそれまでにないスマートフォンのスタイルを提示して新しいモノ好きの人達に熱狂的に受け入れられた。iPhone3Gによって3Gデータ通信がサポートされ実用的に使える物となったが、それ以降の進化については、根本的なユーザーの生活を変えるイノベーションを提供するというよりは漸進的/改良的なイノベーション(言い換えれば痒い所に手が届く改善)を繰り返しており、ある程度「こういう風に使うもの」というモデルが確立してきた。そのため普通の人も問題なく使え、むしろあまり奇をてらったものが嫌われる状況になってきたのであろう。
従って、私の周りの新し物好きが「あまりしっくりこない」「夢中になれない」という感想を抱くのは自然であり、高校生達が安心して購入するのもまた自然だ。
今後ますますAndroidスマホとの競争が激しくなり、モノ自体は確実に良くなっていくだろう。
ただし個人的には少し寂しい気もする。スティーブジョブズ亡き後の Apple は、再び私たちをわくわくさせてくれるようなイノベーションを起こすことができるのだろうか。
Apple社の Fiscal Yearは10月から始まるので、Q1が10月から12月、Q4が7月から9月である。売り上げがジャンプしている2008年のQ4には iPhone3Gが、2009年のQ4にはiPhone3GSが2010年のQ4にはiPhone4が発売されている。
2011年のQ4には売り上げは伸びておらず2012年のQ1にずれ込んでいるが、これはiPhone4Sの発売のタイミングが例年よりも後だったためだと考えられる。
このグラフから分かる通り、新しいモデルが発売されるたびに飛躍的に売り上げを伸ばしている。iPhone5についてはデータが無いが、発売直後1週間で500万台は出荷された訳なので、各Quota が12週間あることを考えれば、2012年のQ1と同じかそれ以上の売り上げにはなるのではなかろうか。
もちろん今後どれだけ売り上げが伸び続けるかは誰にも分からないのだが、少なくともすでに一部のマニアやギークのみが買っているフェイズではなく、多分いわゆる普通の人が購入の大多数を占めていると思われる。普通の人、というのは「新しい物大好き。新しい物を使うためには苦労もいとわない」ではなく「めんどくさいのはいや。なるべく簡単に用事を済ませたい」というメンタリティを持つ人であり、「この辺りでは誰も持っていないクールなデバイスを買った俺最高!」ではなく「他の人も使っているから安心」というメンタリティを持つ人のことを指す。マーケティング用語でいうと「アーリーマジョリティ」から「レイトマジョリティー」のカテゴリに属する人達と言ってよい。
売り上げの推移だけを見て判断するのは危険だが、前回の投稿で紹介した高校生の実態や前々回で紹介したiPhon5を購入した人達の感想から考えると多分当たっているのではないかと思う。
以上、3回に渡って iPhone5は普通のスマホかどうかについて考察してきた訳だが、まとめると
疑問「iPhone5は普通のスマホになってしまったのか?」
結論「iPhone自体が普通の人が購入するスマホになっている。よって普通のスマホだと考えて良いと思われる」
理由「売り上げ推移および新規購入に関する動機を見ると、すでに普通の人が普通の感覚で購入するフェイズに入っていると考えられるから」
初代iPhoneはそれまでにないスマートフォンのスタイルを提示して新しいモノ好きの人達に熱狂的に受け入れられた。iPhone3Gによって3Gデータ通信がサポートされ実用的に使える物となったが、それ以降の進化については、根本的なユーザーの生活を変えるイノベーションを提供するというよりは漸進的/改良的なイノベーション(言い換えれば痒い所に手が届く改善)を繰り返しており、ある程度「こういう風に使うもの」というモデルが確立してきた。そのため普通の人も問題なく使え、むしろあまり奇をてらったものが嫌われる状況になってきたのであろう。
従って、私の周りの新し物好きが「あまりしっくりこない」「夢中になれない」という感想を抱くのは自然であり、高校生達が安心して購入するのもまた自然だ。
今後ますますAndroidスマホとの競争が激しくなり、モノ自体は確実に良くなっていくだろう。
ただし個人的には少し寂しい気もする。スティーブジョブズ亡き後の Apple は、再び私たちをわくわくさせてくれるようなイノベーションを起こすことができるのだろうか。
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