Apple社の Fiscal Yearは10月から始まるので、Q1が10月から12月、Q4が7月から9月である。売り上げがジャンプしている2008年のQ4には iPhone3Gが、2009年のQ4にはiPhone3GSが2010年のQ4にはiPhone4が発売されている。
2011年のQ4には売り上げは伸びておらず2012年のQ1にずれ込んでいるが、これはiPhone4Sの発売のタイミングが例年よりも後だったためだと考えられる。
このグラフから分かる通り、新しいモデルが発売されるたびに飛躍的に売り上げを伸ばしている。iPhone5についてはデータが無いが、発売直後1週間で500万台は出荷された訳なので、各Quota が12週間あることを考えれば、2012年のQ1と同じかそれ以上の売り上げにはなるのではなかろうか。
もちろん今後どれだけ売り上げが伸び続けるかは誰にも分からないのだが、少なくともすでに一部のマニアやギークのみが買っているフェイズではなく、多分いわゆる普通の人が購入の大多数を占めていると思われる。普通の人、というのは「新しい物大好き。新しい物を使うためには苦労もいとわない」ではなく「めんどくさいのはいや。なるべく簡単に用事を済ませたい」というメンタリティを持つ人であり、「この辺りでは誰も持っていないクールなデバイスを買った俺最高!」ではなく「他の人も使っているから安心」というメンタリティを持つ人のことを指す。マーケティング用語でいうと「アーリーマジョリティ」から「レイトマジョリティー」のカテゴリに属する人達と言ってよい。
売り上げの推移だけを見て判断するのは危険だが、前回の投稿で紹介した高校生の実態や前々回で紹介したiPhon5を購入した人達の感想から考えると多分当たっているのではないかと思う。
以上、3回に渡って iPhone5は普通のスマホかどうかについて考察してきた訳だが、まとめると
疑問「iPhone5は普通のスマホになってしまったのか?」
結論「iPhone自体が普通の人が購入するスマホになっている。よって普通のスマホだと考えて良いと思われる」
理由「売り上げ推移および新規購入に関する動機を見ると、すでに普通の人が普通の感覚で購入するフェイズに入っていると考えられるから」
初代iPhoneはそれまでにないスマートフォンのスタイルを提示して新しいモノ好きの人達に熱狂的に受け入れられた。iPhone3Gによって3Gデータ通信がサポートされ実用的に使える物となったが、それ以降の進化については、根本的なユーザーの生活を変えるイノベーションを提供するというよりは漸進的/改良的なイノベーション(言い換えれば痒い所に手が届く改善)を繰り返しており、ある程度「こういう風に使うもの」というモデルが確立してきた。そのため普通の人も問題なく使え、むしろあまり奇をてらったものが嫌われる状況になってきたのであろう。
従って、私の周りの新し物好きが「あまりしっくりこない」「夢中になれない」という感想を抱くのは自然であり、高校生達が安心して購入するのもまた自然だ。
今後ますますAndroidスマホとの競争が激しくなり、モノ自体は確実に良くなっていくだろう。
ただし個人的には少し寂しい気もする。スティーブジョブズ亡き後の Apple は、再び私たちをわくわくさせてくれるようなイノベーションを起こすことができるのだろうか。
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