2012年11月21日水曜日

プロジェクト中止に伴う痛みは和らげられるか?



Cnet に「プロジェクトを途中で打ち切る際の痛みをやわらげる10の方法」という記事が掲載された。
その10の方法とは次のような物らしい。
#1:プロジェクトの打ち切りという選択肢をあらかじめ戦略に含めておく
#2:打ち切りは早いうちに、しかし早すぎないように
#3:プロジェクトの代替策を用意しておく
#4:プロジェクトを妨害活動から守る
#5:投資を行う前にベンダーとともに事前調査を行う
#6:打ち切りが難しいプロジェクトは、適切な部署で実施するようにする
#7:責任を受け入れる
#8:経験から学ぶ
#9:コンセンサスを得る
#10:ポジティブな態度を維持する

確かに、これらを実行すれば痛みはいくらかは和らぐかもしれないが、それは100%が95%程度に微減するくらいの物だろう、というのが正直な感想だ。

Project Manager として、すでに開始されたプロジェクトの中止の経験はある。自分が中心となって打ち切ったケースもあれば、突然天の声で中止が決まったものもあった。
自分が中心となって中止を決定したケースでは、上記10項目のうち、最低5項目は満たしていたはずだ。それでもその痛みがいささかでも軽くなったとは思われない。

なぜプロジェクトの打ち切りがかくも痛みを伴うのか、人によっても様々な考えがあるとは思うが、私に取っては次の2点が最も深刻である。

1. 喪失感。プロジェクトメンバーにとってそのプロジェクトが重要な物であるほど、喪失感は大きい。メンバーが一体となって目標を共有し、感情を共有し、時間を投資することはプロジェクトの成功に取って不可欠であるし、それがうまく行われるようにProject Manager が調整を行う。うまくいっているプロジェクトほどメンバーは思い入れるようになるし、よりプロジェクトがうまく回るようになって行く。ここで突然すべてが失われると、その喪失感から立ち直るためにはそれなりの時間が必要になる。


2. 雇用の問題。アメリカでは前から、また日本でも最近では同じかもしれないが、雇用の問題は生活に直結する。プロジェクトが中止になると、メンバーの職は非常に危うい状況になる。他の仕事が無い場合はすぐに解雇の可能性が高くなる。あらかじめ予見できていれば職探しもできようが、突然の場合は上記1で説明した喪失感も加わって精神的に非常に辛い。

私個人としては、メンバーをプロジェクトに引き込み一心不乱に作業をしてもらった(もしくはそうなるようにリードした)ことに対して道義的責任を感じてしまう。性格によってはすぱっと割り切れる人もいるかもしれないが、私の場合はけっこう引きずる。

とは言うものの、面白く挑戦しがいのあるプロジェクトの方が中止される可能性が高い物なので、Project Manager としてキャリアを積んで行く中でプロジェクトの中止を経験することは必然である。なので、そこまで織り込んでそれも含めて引き受けるのが Project Manager の仕事、なのであろう。
正直なところ、またそのような状況に見舞われるのはごめんだが。




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