2012年12月22日土曜日

「縦書き不要論」について

Nothing ventured, nothing gained.「縦書き不要論」(http://d.hatena.ne.jp/takoratta/20121222/1356187316)より

ここでは極端な仮定をして考えてみよう。縦書きが無くて、すべて横書きだった場合に困ることはあるだろうか?

読みに関しては、無いと思う。

確かに、日本語については縦書きで運用してきた歴史的な経緯があり、縦書きで書かれているものを読む機会が未だに多い。何と言っても国語の教科書が縦書きで書かれているので、ほとんどの人が幼少のころより縦書きになじんでいる。
また書籍で比べても多分まだ縦書きのものが横書きのものよりも多いと思われるし(雑誌や技術系書籍を除く)、大手新聞はほぼ縦書きである。
なので、普段からほとんど横書きの文章を読み書きしている人達以外は、縦書きに対する執着心が強かったとしても以外ではない、と思う。

記事中で及川さんが述べられている通り、
書く場合には、その筆順を考えると、縦書きのほうが効率的だ。漢字も仮名もどちらも上から下への筆運びで、筆順が始まったり、終わったりする文字が多い。
ので、書き手から見ると縦書きが自然であろう。同じようにアルファベットなら横書きが自然であろう。ただし、それは手で書く場合(アルファベットの場合は筆記体で)に限る。
キーボードで入力するなら、慣れだけの問題だろう。

読みについてはどうだろう。端末上で見るなら横書きの方が良い、とおっしゃる御仁もいるようだが、それは現在市場に出回っているディスプレイが横長なので横書きが自然なだけ。
タブレットだと縦長に配置できるし、タッチによる操作によって縦書きのテキストをめくるように読むことは全く自然でどこが問題なのか分からない。つまり今後は縦書きのレイアウトやそのためのプラットフォームの実装が進化する可能性も高い。
しかし全世界を考えれば横書き文字のみで成り立つ地域の方が多分マーケットも広いから、どこまでいっても縦書きのシステムはマイナーな地位にとどまるのだろう。

縦書きについても、そのような科学的な検証を行い、活かすべきものは活かし、横書きへ移行すべきものはする。それが、縦横という表現方法のあり方を超えて、文字データの有効活用へと繋がっていく。

私の認識としては、及川さんとは少し違うのだが、縦書き、横書き、どちらかに強制するのは無理があるが、 現時点では「コンピューター上でレイアウトを実装するには」いろいろな意味で縦書きの難易度が高く、それでも必要な時はその前提を踏まえた上で頑張ってやってみてくださいね。だろうか。

私個人としては、すでに横書きにあまりに慣れてしまっていて、縦書きの長い文章を読むのは疲れる。文庫本だけは仕方が無いので許す(まさに及川さんが写真つきで説明されている通りです)。



2012年12月12日水曜日

今更固定電話は必要なのか? その3

このシリーズも第3回になってしまった。
今更固定電話は必要なのか? その2」の投稿後、TechCrunch Japan にこのような記事がアップされた。
これまでの電話回線網を完全に廃品化へ: IPインフラ万能の時代に向けてFCCが法制整備を始動
AT&Tからの陳情を受けて、FCC(まあぶっちゃけ政府)もこれまでの回線サービスについての規定を撤廃する方向で動いているらしい。AT&Tからすれば、「AT&Tは今後、ケーブル企業と同じように、業種業態を「情報サービス」と見なされたい。PSTN (public switched telephone network, 公衆電話交換回線網)という古い業種業態定義は、永久に返上したい。と同時に、電話サービスとしての社会的公共的義務(Carrier Of Last Resort)の規制からも、自由になりたい。」ということですな。

かといって政府がはいそうですかと規制撤廃の方向に動くというのがアメリカらしいといえばアメリカらしい。というか日本ではなかなか難しいでしょうと思うのは偏見か?

アメリカは広いので、人の住んでいるところにくまなく同一レベルの回線サービスを提供し保守し続けるのはものすごく高くつく。だったら積極的に技術革新を取り入れ、結果としてより良いインフラを提供することが国民の利益になる、という考え方だろう。
日本ほど「すべての国民が等しく高レベルのサービスを享受できなければならない(できなればサービスするな)」という思い入れがないのも良いかも。

AT&Tとしては、規制を取り払うことでメリハリをつけた投資を行うことが可能となる。
TechCrunch の記事にある通り、現状さまざまなバックボーンが入り乱れており、これまでの投資を考慮しつつ適材適所で増強を行っていく事になるだろう。Last One Mile (それぞれの家への回線の引き込み)はこれまで通りメタルの所もあれば、ファイバーを直接入れるところもあろう。最終的にはファイバーか無線に落ち着くのであろうと思われる。

個人ユーザーとしては、前回書いた通りもう固定回線にこだわる必要も無いかな、と感じるようになってきており、この変化も特に問題にはならない。
いっそのこともう全部携帯でもいいかな、とも思うし、これまで避けてきたケーブル会社の電話サービスを使ってみても良いかなと思い始めてきた。ケーブルが切れても携帯はあるし、多分どっちも不通になる状況だともう何をやってもだめだしw。
ただしこれは音声通話に限っての話。データ通信まで考えれば絶対にFTTHが有利。 とはいえ、いくらデータの帯域が上がっても音声通話は別会計のまま。もしも今回規制が外れれば、ひょっとするとVoIPを使うという条件で音声通話(料金)もデータ通信(料金)に包括されるかも、という期待を抱いている次第。





2012年12月2日日曜日

今更固定電話は必要なのか? その2



今更固定電話は必要なのか?」で「家族の代表電話として、そして緊急時のインフラとして」必要であるという結論に達してからまだ1ヶ月も立たぬうちに、その思念を揺るがす記事を紹介された。

AT&Tのネットワーク近代化計画Velocityの意味(1) 」から始まる3回シリーズで、執筆はここベイエリア在住のITジャーナリストの小池良次さん。小池さんには JTPA でアメリカの通信業界各社のクラウド戦略についての公演を聞かせていただいたことがある。通信会社にとってのクラウドコンピューティング+SNSの位置づけと戦略的価値をとても丁寧に解説していただき、貴重な時間を過ごさせていただいた。

この連載記事では AT&T が固定電話の導線を全国規模で固定ブロードバンド(FTTH)かLTEに置き換えるという計画、およびその Verizonとケーブルプロバイダー各社との比較を解説されている。

その中で最も気になる点は、やはり「アナログ電話サービスの終了」だ。「アナログ電話は、日本でも米国でもデジタル交換機の寿命が2015年から2020年前後に終わる。新しいデジタル交換機は製造されていないので、アナログ電話サービスは終了しなければならない。」ということらしい。それまでに、アナログ回線の端末は破棄してブロードバンド対応のモデムや端末、もしくは無線に切り替えなる必要があるということだ。

そうか、いくら自分としては停電対策用に旧式の電話を保持したいと思っても最長で2020年までしか動かないのか」と考えると、ここら辺で回線の乗り換えを考えても良いかな、という気になってきた。

記事の中で紹介されていた「LTEを使ったアナログ電話代替サービス」は非常に魅力的だ。「AT&T社の携帯契約を持っていれば、A&T Wireless Home Phoneは月額9.99ドルの追加費用で利用できる。」現在我が家のAT&T固定回線は国際電話のプランが入ってはいるものの毎月50ドル以上チャージされているので、番号が同一で支払いが5分の1になれば非常に助かる。
また接続の安定性を重視するなら Verizon のサービスを使った方が良さそうだ。屋根にアンテナをたてるらしい。それでなくても Verizon の LTE は我が家で Wifiルーターを試験的に使ってみた時に各部屋での安定性を実証済みなので信頼できる。
こちらにするべきなのか。

ともあれ、そろそろアナログ固定電話もお払い箱かなあ(ちょうどいいタイミングでワイヤレス親子電話機の調子も悪くなってきたし)、と考え直している最中だ。