2012年10月29日月曜日

iPhone 5 は普通のスマホになってしまったのか?ーその2

そのとある女性の衝撃的発言とは!!

「私のまわりはみんな iPhone 持ってるよ。新しく買う人達もほとんど iPhone!」で「ほかのスマホを持ってるととっても珍しがられるよ!」

その女性とはずばり私の高校生の娘である(*1)。

このあたりの高校では、部活の連絡はもちろん、下手すると授業の宿題のやりとりまで Facebook 上で行われる。 なのでネットへの接続性は高校生にとっても必須なのだ。
宿題や長いメールは家に帰ってラップトップとかを使うとして、そうでない時にはそこそこラップトップの代わりにもなってデータ通信できる携帯でバイスが欠かせない。

それは分かるが、なぜ iPhone なのか?

「まず iPhone はもうみんな持ってるからいざとなったら使い方とかをすぐに聞けるし、他の人が使っているのをみて何が出来るかもすでに理解できてる。別のスマホだと他に持っている人がほとんどいないから何かあったときに安心できないし。」
「iPhone 5 発売前は iPhone 4が、発売後は iPhone 4S が安くなって、高校生でもなんとか買える値段になったのが大きい。今だったら iPhone 4 は実質タダだし(*2)。別に iPhone だったら最新機種でなくても良いから。そのくらいの値段だったら、Android スマホだとださいのしかないんだよなー。」(*3)

中学生の時に使っていたテキスト端末(フィーチャーフォンでハードキーボードがついているスライド式のもの)から買い替える時に iPhone にアップグレードするのがトレンドのようだ。

キーポイントは2つある。

1つめ、彼らにとって iPhone は使いやすいからとか高機能だからだとか直感的操作が可能だから選択するものではないのだ。単にみんなが使っているから使うのだ。

2つめ、安いからといってださいものを使うのはいやなのだ。その点 iPhone ならたとえ旧機種であってもデザインが良いので格好悪いということはない、と認識されている。(*4)

私にとって何が衝撃的だったかというと、ポイントの1番目である。若者はもはや iPhone をイノベーティブな要素の詰まった革新的なデバイスだとは全く思っていない。そうではなくて実用的で信頼できる、いわばスマホとして安全パイだと思っている。「普通の中の普通、普通の王道」である。

悔しいことに私が iPhone 5 を使った感覚に非常に近い...  やはりこれが一般的な感覚なのだろうか?

ということで販売台数の変化等も調べてみることにした。

続きます....




*1 ちなみに彼女は父親の都合で Xperia Pro を使っており、友達からは変種と見られている。SIM Lock なしで比較的高価なので普通は高校生は持っていない

*2 2012年10月29日現在、AT&T のオンラインショップでは iPhone4/8GBが$0.99、iPhone4S/15GBが$99.99 。共に2年縛りの契約が条件

*3 実はもう1つ要素があるらしく、それは「ゲーム」であるらしい。本来であれば携帯ゲーム機を買っていた層が「どうせ iPhone かえばゲームもできるんだから」「みんなと同じゲームで競えるし」ということで iPhone を買う。Android スマホでないのは、本文に書かれている2つの理由による

*4 2つめのポイントは、さすが Apple のデザインは素晴らしいとしか言いようがない。いまだに旧機種を中古品として売る時にそれなりの値段がつくのもすごい







2012年10月26日金曜日

iPhone 5 は普通のスマホになってしまったのか?ーその1

iPhone 5 は普通のスマホになってしまったのか?(1)


思い起こせば iPhone 5 発表の翌日に予約を入れ、9月24日に無事受け取ることができた。電源ボタンがうまく押せないという初期トラブルがあったものの、数日後には Apple Store で交換をしてもらい、仕事以外の個人用の電話として使い始めた。

1週間ほど使っているうちに、何となく違和感を感じ始めた。すべては予想した通りに動作しており、マップの不具合も自分が使う範囲ではそう不満も無く、この違和感はどこから来るのだろうと不思議だった。それから数日考えた後、見つけた答えは

「使っていて感動しなくなったから」

だった。


「え、たかがスマホでしょ?何で感動するの」という声が聞こえてきそうだ。しかし私は iPhone 3G と iPhone 4 に感動していたのだ。
それまでのフィーチャーフォン(日本でいうガラケー)やウインドウズフォンとは異なり、最高のユーザーエクスペリエンスを提供するために考え抜かれた画面サイズ、アイコン配置、ホームボタン等、使い込むほどに「本当に良く考えられている」と感服し、「ここで校反応してほしい時に思った通りに反応してくれる」と歓喜し、そのような”いわゆる”最先端デバイスを自分が使えることに感謝した。それらを「感動」と言わずに何と表現すればよいのか。

私は自分のミスで iPhone 4 を紛失してしまい、それはついに見つからなかった。それから今回 iPhone 5 を購入するまでは iPhone ではなく Android ベースのスマホを仕事用だけでなく個人用としても使用してきた。Android ベースのスマホを開発している仕事上、自分の中では iPhone は暗黙のうちに追いつき追い越す目標として君臨していたのだった。
それだけに、iPhone 5 に関しては自分で意識はせずとも相当な期待をしていたはずだ。

iPhone 5 を使っても感動しなくなったということは、つまり iPhone が普通のスマホになってしまったということだろう。自分としてもそれに気づいたことが驚きだった。
これは、単に自分が iPhone のユーザーエクスペリエンスに慣れてしまったからなのだろうか。それとも iPhone 自体がすでに普通のスマホとして広く使われている、ということなのだろうか。


まわりの人たちの反応

私のまわりにも iPhone 5 を購入した人はおり、その人たちの反応を探ってみることにした。

初めの一人、仮に A さんとしよう。彼にとっては初めての iPhone で、購入前の意気込みは凄いものだった。残念ながら彼の自宅のWifiルーターとの相性が悪かったらしく、iPhone を繋ぐと他の機器の接続が解除されてしまう状態になってしまったらしい。
個体差かもしれないので交換してもらうか、AirMac Express を購入して専用のルーターにする等の提案をしてみたのだが、結局1週間程度で手放してしまった。
A さん曰く、使ってみて楽しかったけれどそこまでして持っておく必要も無いだろうと思った、とのこと。

二人目の B さん。彼は自他ともに認める Apple ファンで、iPhone も代々使用してきている。ユーザーエクスペリエンスやコンテンツ、プログラミングにも造詣が深い。その彼曰く「なんか、夢中になれないんだよな、以前と比べて」と話しかけてきたのでびっくりした。それでも日常的に使用しているわけだけれども。

この二人はたまたまネガティブな印象を持つ人達だったという事なのだろうか。

その他、購入がまだの人に iPhone 5 を見せても、「ふむふむ、やっぱり実物を見るとちょっと縦方向に長くなったね」等えらく冷静なコメントが返ってくることが多い。
iPhone 4 の時のように「ををーっこれね!」という興奮した反応は非常に少ない。
やはり、すでに iPhone が普及しきってしまって新鮮味がなくなったから、なのだろうか?

そのような事を考えていると、ここでとある女性が衝撃的な発言を!

続きます...



はじめに

ブログについて
コンピュータ業界に入ってからはや幾年月、携帯業界に関わってからもすでに十年以上になります。
次々と新しいコンセプトや製品サービスが世の中に生まれ、それが少しも途切れない非常にダイナミックな環境の中にいることが面白く、ここまでこの業界に居続けることができたと思っています。
十年ほど前にシリコンバレーに移住しました。それまでの日本からアメリカを見ていた立場とは逆にアメリカから日本を眺めることになり、個人的にはより多くの視点を持てるようになりました。

このブログでは、これまでに自分が体験してきた事を踏まえて、ITおよび携帯業界の中で主に自分が関わったり興味があるテーマについてまとめて行きます。


ブログ主経歴
日本DECにて、ソフトウエアエンジニアとしてキャリアをスタート。自動倉庫システムの開発やシステムサポート業務を経験。
同社勤務中に Web の爆発的な発展に遭遇し、その可能性に圧倒される。意を同じくする人たちと共にWebベースの業務ソリューション提案や開発を行う。 また黎明期の携帯電話に着目し、携帯電話とEメールを組み合わせた製品を開発し販売のサポートを行う。

携帯Eメールの次は携帯インターネットだ、という予想の元、1999年当時 Phone.com という名前だった OPENWAVE systems に入社。
日本オフィスにて、キャリア担当のプログラムマネージャとして某キャリアの WAP システムの導入および WAP2 システムの立ち上げを担当。
また WAP2 システムに関しては特に端末側ソフトウエアの中心であるモバイルインターネットブラウザの日本市場向けバージョンの開発を協力に推進。現在も(多分、ガラケーで)使用されているブラウザの基礎を作った。

2002年カリフォルニアの OPENWAVE 本社に移籍するため家族と共に渡米。以降日本市場向けのモバイルブラウザの提供やOPENWAVE製クライアントソフトウエアのプロダクトマネージメントを担当。

2009年に当時 Sony Ericsson と呼ばれていた現 Sony Mobile Communications に入社。シリコンバレーオフィスにて Software Project Manager として勤務中。


将来の夢
それを使うことによってユーザーの生活が楽しく、より快適に、より幸せを感じるような、真の意味でインパクトのあるモノやコトを提供すること。

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